猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS1

機動戦士ガンダムSEED DESTINY SS

『踏み込んだ境界線』 前編



「出来れば拘束したいところだが…万が一の場合は射殺もやむ得ない。」

武装した兵たちからこのような声が聞こえた。それぞれの兵が武器を持っていた。

…レイもマシンガンを携えて見回りをしていた。



スパイでもいるのだろうか?



どちらにしろただ事ではない。私は部屋の端末から状況を知るために部屋に戻った。

部屋に戻り、端末をいじくる。いつもどおりやっていることだから、この操作もいい加減慣れていた。

「一体何?…何が……?」

自分のことでもなければ、仲間のことではないはずなのに……。

自分の中には緊張と不安が入り混じっていた。その緊張と不安がキーボードを動かせた。

…生唾を飲んだ。

明らかに緊張している。こういうスパイが侵入することに慣れていないし、自分は戦闘要員ではないだからであろうか…。

今まで体験したこともないような不安が自分の中にはあった。


そして情報を取り出そうとする。

 
………。

…。


ガチャ…。

不意にドアが開いた。

お姉ちゃんかと思い振り向いた先には意外な人物が入ってきた。


……アスランさんだった。

「アスランさ………!!」

全てを言い切ろうとしない間にアスランさんは私の口を押さえた。

「ゴメン……!外に出たいだけなんだ……!!静かにしてくれ…!」

アスランさんは切羽つまった声で私に言った。


………アスランさんを見る。

外は雨が降っていたからだろうか。髪は滴り落ちて、雫がたれていた。同時に汗もにじみ出ていた。服も濡れている。

顔は焦りと殺気……そしてそれと同等の冷静さも持っているように見えた。

アスランさんはマシンガンも持っていた。

……アスランさんが追われているのは明らかだった。


…私は静かに頷く。


脅されたというのではなく、なぜかアスランさんが信用できたからだった。


「…追われているの?貴方……。でも…どうして?」

「そんなこと……。後でレイにでも聞いてくれ。」

アスランさんは窓の方に移動して、その近辺を探りながら私に面倒くさそうに言った。

「え……。」


コンコンコン。

再びドアから音がした。

「保安部だ。室内を検分したい。」

緊張が走った。…全身に。




………アスランさんを探しているんだ。本気で。



アスランさんが追われていることにリアリティがなかったが、嫌でもそれが身体で分かってしまった。

……アスランさんを見つめた。

アスランさんはさっきと同じで特別緊張した様子はなかった。

「俺が出たら、声を上げろ……。銃で脅されていた……と。」


その瞬間、戦慄が走った………!!


このままアスランさんを行かせていいのだろうか………?


『射殺もやむ得ない』


その言葉が私の脳裏をめぐる。


アスランさんの態度から考えて、保安部は間違いなくアスランさんを射殺するだろう。


ヤキンの戦いを生き残った伝説にもなっている人…………。

ミネルバでフェイスとして……エリート軍人である人……。

そして………。




私の憧れの人………。




アスランさんは漆黒の世界に行こうとしているように見えた。

何も見えない真っ暗闇な世界。

脱走が成功したとしても、私からは見えない世界にいってしまうのだと分かった。


このまま……。


このまま…。




このままアスランさんを行かせたくない……!!!



私はアスランさんの手首を掴んだ。


「こっち……!」


私はアスランさんをシャワールームに連れて行った。

そしてシャワーから水を出す。

瞬く間に、部屋が蒸気であふれかえる。


コンコンコン。


保安部がまたノックをしてきた。これ以上時間はかけられなかった。


「はいっ!!」


「バカ!無理だ。」

私の意図を理解したのか、アスランさんは私を止めようとした。


「大丈夫です……!」


私は服を脱いで、髪の毛だけシャワーを浴びた。


この際、アスランさんに見られているとか気にしている場合ではなかった。


バスタオルを取り出し、部屋の入り口に向かう。

アスランさんは呆気を取られているように見えた。


……。


……。


目を閉じ、そして目を開けた。


そして、ドアを開ける。



案の定、武装した保安部の人がいた。


「あ、ああ………。」


…その保安部の人は驚いた表情をしていた。


室内を検分したいと言って中に入ったらバスタオルを巻いた人間がいるのだから当たり前と言えば当たり前かもしれない。

「ちょ…ちょっと。メイリン!!やだ…!なんて格好よ!!アナタ!!」

「だって…シャワー浴びてたら、どんどんドア叩くんだもん……。」


………初めてかもしれない。


こんなに姉と空虚でウソに満ちた会話をするのは。


唇が震えていた………。


手も震えていた…。


うごめく不安と緊張がこれまでにないほど、身体の震えとなってあらわれていた…。


「むっ……。」


姉は保安部の人を睨みつけていた。姉は信じたようだった。


正直、姉を欺きとおせる自信もなかった。


「いいからアンタはさっさと服を着なさい。みっともない……。大体、何?これは一体何の騒ぎなの?」

「あ……、いえ。」

姉は保安部の人を追い出した。

姉のフォローもあってすぐに保安部は退散していった。


………姉のフォローがなかったら、ここまで上手にはいかないだろう。


姉は保安部の人間と一緒にどこかにいってしまった。

そして、私は静かにドアを閉める。


…………。


……。


…。


私はその場にへたり込んで震えてしまった。


あらゆることの恐怖が同時に私に襲い掛かっていた。



保安部が持っていた銃………。


あんなに自分の近くに突きつけられたのは初めてだった。




………本当にリアルに見えた。



あれを一発撃たれるだけで私はもう駄目になる。



そして私は姉も軍も欺いた………。


正直、取り返しのつかないことだった。





どうなるかは自分でも分かりきっているはずなのに……!



ぱさ……。


アスランさんはバスローブを私にかけてくれた。



「ありがとう……。」


アスランさんは私に対して安らかな笑顔で私に語りかけてくれた。


アスランさんの方が切羽つまっているはずなのに………。


アスランさんの方が殺されそうになっているのに……。




なのに、アスランさんは私に対して静かな笑顔を見せてくれた。



「けど、どうして…?」

アスランさんは私に静かに問いかけた。

アスランさんはどこまでも冷静だった。


「……分からない………。」


そうとしか私は答えられなかった。


自分の中で答えなんてなかった……。


「……でも。助かった。………すまない。」


アスランさんは静かに立ち上がり、窓の方へ向かった。

けど………。


………。




アスランさんは漆黒の世界に向かっているように見えた……。





私はアスランさんをつなぎとめようと………自分の近くにつなぎとめようと……。




私はアスランさんの足掴んで、アスランさんをつなぎとめていた。



「えっ…。」



アスランは本当に驚いてこちらを見ていた。


もう………。


もう……。


もう駄目だった。


アスランさんが漆黒の世界に行かないようにするのを確認するまで、自分を抑えることは無理だった。


もう無理だった。


「か……格納庫!!ちょっとまって!」


                     (続く)

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