猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS14

機動戦士ガンダムSEED DESTINY SS

『彼方で眠る大輪の花』



「珍しいわね。キラが私を誘うなんて。」


「そうかもしれないね。」











天を見上げた。


空は青く…青く…澄み渡る空だった。


濁りも曇りもない清らかな空だった。


太陽は我こそはといわないばかりに輝いている。

すがすがしい天気だった。













……風が吹いた。

その風は暖かいものだった。

人を包み込んで守ってくれるような風だった。

優しい風だった。














こういう日に『彼女』のところに会いに行けてよかった。


















「…フレイのところに行こうと思ってね。」


「やっぱりね。」


そばにいる女性は分かりきっている…という表情で僕を見ていた。


ミリアリア・ハウ。

ヘリオポリス…学生時代からの友人だった。


アークエンジェルで学生時代からいる仲間と言えば、ミリアリアしかいなかった。


ある人は自分の意思でこの船を降り…


ある人は死んでいった……。


それでもミリアリアはここ再び乗ることを決意し、一緒にいる。







そんなミリアリアには説明なんて不要なのかもしれない。

彼女は知っているから。

父が殺されたことによって、フレイが僕を憎んでいたこと…。

それを僕が知っていても、肉体関係を持ち…すがりつかないといけなかったことを…。

そして、そんな退廃的な関係であったにも関わらず…

離れ離れになっても…僕たちはお互いが必要だったことも。


彼女はラクスと違って、ずっと僕たちと戦ってきたのだから。

その一部始終を見てきたのだから…。







「せっかくだからさあ、色々準備していこうよ。」

「準備?」

「どうせキラのことだから、何も持って行ってないんでしょ?」

「そうだけど?」







以前、一人でフレイの所に行ったときは花ぐらいで特に持って行かなかった。

そして、彼女の思い出に耽るのが常だった。

それが一番大事だと思ったからだ。





「墓の掃除とか…色々あるじゃないの?」


「ああ………そうだね……。」






こういうことを思いつくミリアリア。

それだけでミリアリアと一緒に行く価値がある。
















思いに耽るということだけでなく…


何か『彼女』のためにすることも必要なのだ。













「じゃあ…行きましょう?」


「そうだね。」














……再び風が吹いた。

さっきと同じで優しい風だった。


ミリアリアはその風を体で受けながら、天を仰いだ。





















「いい天気ね。フレイも喜ぶわ。」























…そうか。






ミリアリアを見て思った。

彼女がナチュラルを愛していた理由を。

それはこの温もりある暖かい世界を愛していたからもしれない。

…この暖かい風を。

…力を与える太陽の光を。

…澄み渡る青い空を。



光あふれる揺り篭である地球を愛していたのだろう。

























…本当にこんな素晴らしい日にフレイに会いに行けてよかった。






















…………………。




………。





……。





…。








「フレイ・アルスター。」


フレイの墓の前で僕はそうつぶやいていた。










……フレイの墓。


フレイは地球にある共同墓地に葬られている。


2年前の戦いで死んでいった者たちの墓だ……。


簡素な作りになっているのだが、フレイの墓は手入れが行き届いていた。


ミリアリアが気合を入れて準備をしてきたが、徒労だったかもしれない。







「結構、綺麗になってるわね。サイでも来たのかしら?」


「あるいは親族の人かもね。」


「ふ~~ん……。」


「掃除どうする?」


「するに決まってるでしょ。こういうのはね…することに意味があるのよ。」


「そっか…。そうだね。」



ミリアリアは言う。


意味のないものなんてないこと。


こうして墓掃除することも大切なことだと。


過去を偲ぶ上でも…こういうことをするからこみ上げてくるものがあるのだと。



だから、僕はミリアリアに同意して墓掃除を始めた。



…………………。




…………。



……。






暑い…。


空は澄み渡り、太陽が全てをさらけ出している。



墓掃除も相まって、必然的に汗が出てくる。


しかし、これすら、プラントでは味わうことができなきことなんだと思う。


気温調節され、全てが整えられた世界。


そんな整然とした世界では体感できない大地の営みがそこに存在していた。



暑いと思うことも…



寒いと思うことも…



それはこの大地でしか分かり得ないことだった。



……天を見上げる。

さっきと変わらない太陽がそこに存在する。
























……フレイ。


キミはこの大地の営みを愛していたんだね…。


そう思うと、僕もこの地球を本当の意味で愛せそうだよ…。


キミは僕に『愛する』ということを教えてくれた。
























本当にありがとう。



































今、ミリアリアとやっていること。


それは本当に他人から見れば大したことではない。

単なる墓参りなのだから。










…しかし、その奥底に隠れているものがある。



























それは人々の営みであった。

愛する者を追悼すること。

だからこそ、ここに来ているんだ。

























それは大地の営みだった。

全てに力を与えてくれる太陽…そして雨。

これらは僕たちが生きていく中で欠かせないもの。

そういう天気の中で僕たちはいつだって人々の営みを続けているんだ。
























…ミリアリアはそういうものを僕に感じてもらうために気合を入れて準備をしてきたのだろうか?


多分、そうだろう。


ミリアリアはそういう人間だから。


いつだって心からの思いやりと、気の利いた親切に満ち溢れる人間だから。
























ミリアリア…。




うん?





ありがとう。





じゃあ、トールのところいきましょう?





そうだね。

























……風が吹いた。


やはりすべてを包み込んでくれる優しい風だった…。







                (終わり)

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