猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS17

機動戦士ガンダムSEED DESTINY SS

『最果てにある祈り』 第8話



………結局、ラクスさんは何が言いたかったのか?


その日のやるべきことはあまり手につかなった、というのが今日の一日だった。
















『なら。大丈夫ですわね。』

あの言葉にどういう意味が込められているのか。


















『その最果てにあった祈りがアスランに届きますように』

それはラクスさんがカガリさんではなく私に期待しているということなのだろうか。

……アスランさん救うことを。

それは自意識過剰なのかあるいはラクスさんがさせたいことなのか。

















ラクスさんは計り知れない部分があった。

アスランさんの手の届かない思慮の深さがある。

私なんかがわからない…それこそ神のような配慮がそこにある。

結局、ラクスさんは私に何をさせたいのか。






『それを決めるのはあなたですわ。』


不意にラクスさんの言葉が思い出される。

アスランさんに対して言った言葉。

『フリーダム』…自由という言葉に集約されている通り、最終的には自分で決めろといいたいのか。



………しかし、たどり着くところは同じに見えた。






……私はアスランさんを支えたいのだから………。

















……………………。






……………。






……。





…。









コンコン……。




ノックの音。













少しドキッとする……。

アスランさんという期待からか、胸が高鳴りをはじめる。

それと同時に不安も感じる。

アスランさんは今日も優しくしてくれるのだろうか?

ここにいるべきでないでないと、この艦を降ろされるのではないか…ということも言われそうで…。

それだけは怖かった。

勿論、それは私のために言ってくれているのは分かる。

しかし、それでもアスランと一緒にいたかった。

姉のために…ミネルバのために何かしたかった。


だから、アスランさんにすがりついてでもここにいたかった。



「あ、はい。」

私は生返事をする。


「俺だ。アスランだ。」


「あ、どうぞ。」


そういうと、静かにアスランさんは入ってくる。


言うまでもないがいつものアスランさんだった。


黒髪の精悍な顔つきにオーブの軍服をまとっていた。




「以前より大丈夫そうだな。」


アスランさんは安心したように私を見る。


脱走を手伝ってもらってどこにも行き場のない人の心配をしないような人間ではないから。

そういう気遣いはここに来てからもなくなることはなかった。

それはアスランさんらしいといえばアスランさんらしいものだった。

「あ、はい。」


………少し赤面しながら、飾り気のない返事をする。

もう少し上手く対応できたらな…とラクスさんと話しをしてからも思う。

言葉だけで何とかしようとは思わないが、素っ頓狂な返事とかも多いな…と最近思ってしまう。
















………………ドキドキしてる。







ふと、考えてみると二人きりだ。

こういう二人きりの部屋でアスランさんを見ると本当に真っ赤になってしまう。

考えてみれば、男女が同じ部屋にいるのだから…と思う。

それが本気で好きになった人だったらなおさらだと思う。

この部屋でアスランさんに抱きしめてもらったり…添い寝してもらったり…

そんなことを考えると頭が爆発しそうなぐらい真っ赤になる。



「イス…座っていいか?」

そんな私の思いとは裏腹にアスランさんはいたって冷静だった。

…というか、色々私が考えすぎなのかもしれない。





「あ、どうぞ…。」


アスランさんは机と一緒にあるイスに腰掛けた。


私は…仕方ないのでベットに腰掛けた。


ボフッという音がして柔らかい感触だった。












「ここは大分慣れたか?」

アスランさんは優しい柔和な笑みで静かに…穏やかに私に語りかけた。

この優しい仕草だけで少し胸が高鳴る。

本当にアスランさんが好きなんだなと思ってしまう。

「そうですね。みんな優しいですし。」


それに関しては嘘偽りは全くなかった。

割かしみんな私に対して優しく接してくれるし、軍と違って規律や厳しいものがない。

それは軍艦として正しい姿ではないような気がしたが、それでも私にはすぐに溶け込める環境だった。

規律が厳しくない理由にクルーの能力が高く、そういうことをする必要性を感じていない点が挙げられるのだろう。

みんな二つの大きな戦争を切り抜けたのだから、自分のすべきことは自分で分かりきっているのだろう。













「けど…やっぱりちょっと寂しいかも……。」



「どうして?」


「お姉ちゃんのことも心配だし、プラントのいる家族のことも心配で…。」


脱走兵を持つ両親の心境はとても苦痛だと思う。

幸せに育って欲しいと願った子供はプラントを脱走して、死んだことになっている。


……………。



家族のことを考えるとやはり憂鬱になってしまうのが常だった。


父さんと母さんどうしているのだろうか……?



やはり嘆き悲しんでいるのだろうか。


こんなはずではなかったと……。



戦争で死ぬのではなく、脱走して死んだことになったら、近辺の風当たりも厳しく思えた。




やはり、一番心配するのは家族だった。



「……家族……か。」



アスランさんは家族と聞いて、少し…いや、かなり表情を暗くした。


「やはり…家族ではあまりいい思い出はないですか……?」


私は心配になって聞いてみた。


愛し合って…少なくともそれなりの情愛をもって夫婦となるものだ。


婚姻統制されている社会でも生まれてくる子どもは愛されるものだと思っている。



「どうだろうな……?」


どうだろうな、と言う辺り…あまりいい記憶がないのだと思った。


そもそも二人とも戦争で死んだ辺りからしていい記憶なんてなくなってしまうのかもしれない。



「じゃあ…アスランさんは両親を愛していましたか……?」
















「愛してた……!」


アスランさん叫んでいたいたわけではないが、激情とも言えるような声を出した。

アスランさんが感情を出すことはあまりないので、少しびくっとした。



















『なら…大丈夫ですわね』



ラクスさんの声が聞こえた。


……そうだ。


アスランさんを受け止めなければならない。


でなければ、いけない……。






「母さんや…父さんは…?母さんや父さんは…互いに…愛していましたか…?」



「父さんは母さんを愛してた…はずだ。俺だって…愛してた。」


アスランさんはつぶやくようにそう言い続ける。



「母さんだって…父さんは愛してたし…俺を愛してた…。」



「……だけど…うまくいかないものなんだ。」


アスランさんは何か諦めたかのように家族に関して語る。


もうどうしようもない…。


いや…どうしようもなかった…というような全てを諦めているかのような表情。


アスランさんはそれこそ悲観的だった。





「どうしてです…?愛し合っていたなら…。」


「父さんは政治の仕事で忙しい…。母さんは農業の研究で忙しかった……。それに……。」



アスランさんはそれっきり俯いた。家族の話をすると元気がなくなっていた。


言おうとして言わなかった。


私に対して遠慮をしたのか、あるいは自分の内面を話したくないのかその両方か。


内面の話しをするとアスランさんは語るのをやめた。














………アスランさんの本当に欲しいもの。


それが見えてくるような気がした。


「それに……。」



「いや…いい。」


アスランさんは忘れてくれ…というようなニュアンスで言った。


もうそういう話はやめようと言っている。




けど………。




私は忘れない。







「聞きたいです。」

私は珍しくはっきりとした明白な口調でアスランさんに言う。


「いいだろう。そんなこと。」

あいかわらず、アスランさんは忘れてくれというような口調でそう語る。

家族の話は本当にしたくないのだな、と思う。

アスランさんにとってそれは禁句の話しなのかもしれない。


それでも…。

「良くないです……。」


「え?」


「………大切な人の家族の話なんですから……そんなことなんかじゃありません……。」


大切な人の大切な人。


それは私にとっても大切な人だと思うから。



そして、そのことで悩んでいるのなら、私が何とかしたかった。
















………………アスランさんのために。






               (続く)

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