猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS24

機動戦士ガンダムSEED DESTINY SS

『海の記憶』 第3話



「………はあ。」


結局、やることをすると後は部屋に戻るだけ。

訓練や定期的にしなければならないことが終わるとやることはない。

ステラは今眠っているだろうし。

普段なら、クルーの人と接しているのだろうがそんな気にもなれない。

どうせ、みんなも今の俺とそこまで話したい奴もいないだろう。







……俺は全てを拒絶しているのだから。
















「……どうした?」



……レイがいた。


そういえば、レイはクルーと仲良く話ししたりするようなガラじゃなかったな…。

軍事シュミレーションかあるいは情報収集をやっていたのかな…とふっとそう思った。

レイでもそこまで話ししようとも思わない。













……結局、俺はステラ以外で何かをしようとする気が全くないだけだ。















レイはシャワーを浴びていたのか、濡れた雫が滴る髪をバスタオルで拭いていた。

というか浴びていたのだろう。

そのままレイは俺の目を見るわけでもなく、話しかけていた。

普段の会話形態がこうなのだ。

部屋内で二人で目を合わせて会話するなんてことは普段しないことだろう。




「……いや。」



しかし、レイが自分から話しかけるなんて珍しいこともあるなと思って会話をしていた。

普段は何か用事があって話しかけるか、あるいは俺から話しかけるのが常だったから意外だ。















「あの子はどうだ?」

「え?」









俺は『大丈夫か?』というような言葉言うのかと思った。

意外にレイは彼女のことを…興味本位かもしれないが聞いたことに少しだけレイに驚いた。

そのとき、レイの方を見たがレイはいたって普通だった。

あまりに普通で俺が驚いたことに対して少し驚いているように見えた。












「………いや。今も発狂して荒れることもあるらしいし……ずっと拘束具で縛られたままだよ……。」

こんなところで嘘を言っても仕方ない。

俺はありのままにステラのことを語った。

……しかし、本音としてはそういうステラの状況すら語りたくなかった。

自分が悲しくなってくるからだ。

……何も知らずにステラを傷つけてしまったこと。

……そして、何もしてやれない自分。

そんな自分の状況を見るともどかしくなってくる。

「………そうか。」


レイはバスタオルで依然髪の毛を拭き続けている。

……こういうときでもレイは全く普通に話しをする。

今の俺の状況もレイにとってそこまで気にすることではないのかもしれない。
















しかし…自分は何も出来ないのだろうか……。

ただステラの側にいて安心させることしかできないのだろうか。

それだったら、俺なんていらない。

…俺はステラを守れていないじゃないか。




ステラは拘束具で縛られて……

俺以外に知り合いも安心できる存在もいなくて…


そんな状態で俺はステラを守っている…そう言えるのか?


















「うわ……。」


そう思うと、頭を拭いていたバスタオルを俺にかけてきた。

突然何をしているのだろうとおもったときにはもうレイは話していた。

その表情はやはり、俺のことを心配しているようにも見えた。

…実際はどうなのか分からないが。









「納得しろとは言わん……。ただ……我慢はしろ。」

「え?」

「今、そうやって、拘束具で動けなくしているのは仕方ない……。稀に前にみたいに暴走みたいになったら困るだろう。」

「……薬が切れて…安定してくれば…また普通の扱いになるだろう…。」

「…だから…納得しろとは言わない。…だが理解はしろ…。」


「……ああ。分かってるよ。」


レイの言っていることは素っ気無くて感情があまりこもってないようにも思える。

…しかし、俺の心に何か感じるものがあった。

レイはレイなりにステラのことを心配しているのだと思った。

少なくとも、連合だからとか、エクステンデッドだからとかそういう扱いをしてなかった。

単純に『ステラ』として見てくれているレイを見て嬉しくなった。




「レイ。」


「何だ。」


「ありがとう……。




少し目頭が熱くなったような気がした。

人の気遣いはとても暖かいものだと初めて知ったような気がした……。






………………。






………。





……。









しかし、物事はうまくいかない。

ステラは日が経つごとに体調を崩していった。












『一定期間に何らかの薬を投与しないと身体機能を維持できないようでもある』










その言葉がズシリを俺の胸に重りとして乗る。

本当にステラは体調を崩していった。


「…シン?」


「……ステラ……。」








……今のステラの状況は到底俺には正視できるものではなかった。

顔は青く…白くなってまるで生気がない状態になっていた。

憔悴しきった顔となっている。

なんとか魂の鼓動で生きらえているような…そんな状態だった。

体も依然より細くなって肉付きがなくっているように思えた。

その細い腕は脆く儚く思えた。

ステラのすべてが消え去っていくのではないかと思えるほど、ステラ儚く弱々しいものなっていた。





…俺はステラを撫でる。


「シン……。」


ステラは俺に撫でられていると知ると安心した表情になる。















……対照的に俺は不安になっていった。

ステラは霧のように霧散していくのではないだろうか。

この撫でられている顔も……

今はやせ細っているけど、全てを支えているこの体も…

ステラの綺麗な心も……


全て消え去ってしまうんじゃないか……。

ふと、そう思う。


それだけステラは消え入るそうな状態になっていた。


















嫌だ。

ステラがこうやって苦しむ姿を見るのは嫌だった。


暖かい、優しい世界で生きていたい。


ステラと一緒に………そういう世界で……


俺はステラと一緒に生きたい。









嫌だった。



このままステラと離れ離れになるのは嫌だった。


何かステラのためにしてやりたい。

ステラと何か一緒に何かしたい……。















「ステラ………。」


俺は拘束具のままステラを抱きしめた。













……暖かいぬくもり。

例え、こんなに儚いものであってもやっぱりステラは暖かく……優しいぬくもりを感じることができた。

ステラ自身の暖かい心なんだと思った。





ふと、ステラの匂いがした。

思い起こされるは海の記憶。



……寄せては引く静かで優しい波の音。


……全てを包み込んでくれる大きさ。


……通り過ぎていく生きものの営み。


…そして人の営み。



……それは優しき慈愛に満ちた優しい優しい……海の記憶。












ステラ。


綺麗だね……。


海ていうのは…。



……一緒に行こうか。




                   (続く)

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