猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS26

機動戦士ガンダムSEED DESTINY SS

『海の記憶』 第5話



「……わあ………。」

「海……か。」






やっぱり、俺がステラと一緒に行きたかった場所。


それはやはり海だった。


海が大好きな少女。


この海で……正確には違うけど…


地球の海はつながっているのだから、この地球の海で出会ったのは間違いない。


そこで出会った場所だったから…もう一度一緒に来たかった。


もうすこしでたどりつける場所まで来た。


後は砂浜を歩いていけば、ステラの好きな海に行ける。


今は砂浜のちょうど手前。


…だから、






もう少しだよ。ステラ







もう少しで俺たちの優しい世界に…行けるよ。






















「さて……。」

レイはステラから離れた。

支えていた重りが少し増える。

それ自体はなんら問題ないが、どうしてレイは離したのだろう?



レイはステラのことを気に入っていると思ったんだけど……。



「疲れた。この辺で休ませてもらう。」


「へ?」


「……?」


そう言って、レイは近くにある岩に腰掛けていた。


それ以上動く気がないような態度を見せていた。



「………早く行ったらどうだ……?」


「あ…ああ……!」


ようやく分かった。


レイは気を使ってここで待ってくれていると…そう言いたいのだろう。

正直、レイがこんな気遣いを見せるとは思わなかった。


本心では、確かにステラと二人で来たかった。

海で何をするというわけでもなく。



「……いいのか?」


「疲れたと言ってるだろう。」


「はは。そうだったね。」













「……ステラ。行こう。」


「……うん……。」


レイのことを名残惜しそうに見ていたが、すぐに海の方を見やりった。



「わあ………。」



ステラは子どものように無邪気な表情になった。


心の奥底から喜んで…天真爛漫な明るい表情になった。



……やっぱり、ステラと海に来てよかった。


もっと他のことも色々したかった。


けど、やっぱり一番したかったことはと言われれば……


すべてを包み込んでくれるような慈愛に満ちた海に行きたかった。


「さあ……行こうか。ステラ。」


「……うん……!…うん!」









………。



見渡せるのは海の営み。


……重厚で壮大さを与える波の旋律。

その波に寄せては引かれる海の生き物たち。

その生きものたちをついばみに時折やってくる海鳥たち…。







それは俺の…ステラの見た海の記憶だった。









「………嬉しい……!」


ステラは安堵し…そして微笑んだ。


「俺もだよ。ステラ。」







………………………。





………………。






…………。




……。






…。









間近にみると透き通っている海……。

そこに潜む海の営み。















「……ん…。」

ステラはしゃがんで海の生き物と戯れていた。

…そうはいっても、動くことの不自由なステラはその場で海を見つめ続けることをしただけだった。





動くことも不自由で……


俺以外に知り合いもいなくて…


そんなステラがここに来て心のそこから嬉しいのだろうか……?


俺はステラを見てそう思った。


ステラを不憫にさせているのは俺なんじゃないか。


かわいそうにさせているのは俺なんじゃないか…?









「………きれい……。」


「………。」


それでもステラは満足しているように見えた。


……なにもかも不自由になっても心は綺麗で純真だった。


そうじゃなきゃ、こんな表情にはなれない。



「……ステラ……。」




……ステラがどうしようもなくいとおしいと思った。







…かわいそうだと思った

…不憫だとも思った。


そして、その心は…綺麗だな…。




















そう思うと俺は………ステラを抱きしめていた。








直接感じる肌の暖かさ。

海と戯れていたいたことを表すステラからの潮の匂い…。

衣類の衣ずれの音…。

重厚な旋律を奏でる波の音。

海鳥…海の営みを演じているものたち…。






それが全てステラらしいな…と思った。
























……そうだよね。ステラ。


俺はステラと一緒にこうしてしてるだけで幸せなんだ。

だから…ステラも…幸せなんだと…その表情がいっているんだね…。










ステラ……。







「ずっと一緒にいたいな…。ステラ。」





ステラはあまり意味が分からない、といった表情でこちらを見ていた。


しかし、抱きしめられているのは心地よいのか、安堵して肌をこちらに摺り寄せてきた。












触れ合った中から感じるステラの暖かさ…そして海の記憶。

そういったステラの全てが俺に流れ込んでくるような気がして嬉しかった。

こうやって肌の暖かさを…海の記憶を感じるだけで俺は安心できた。




……確かに安直かもしれない。

人の求めているものはもっと計り知れないものなのかもしれない。








けど……俺にとって一番大切なもの。


それは、このステラのような暖かさが人を結び付けているのだと俺は思った。


少なくとも俺が一番求めているもの。


それはステラから出されるこの暖かさだった。














………ステラは肌を摺り寄せながらこちらを見ていた。


とろん、と安心しきって満足感に浸れているとても幸せそうな表情だった。


もっとこの暖かさが欲しかった…。


暖かさから来る忘れかけていた家族のような安心する温もりと満足感。


もっと忘れかけていたものを取り戻したいから…


そして、ステラにもその暖かさを与えたい…そして感じてほしい。





「………ステラ。」

























……見つめあった俺たちはそれとなく唇を合わせた………。










……柔らかい感触…。

……そこから流れてくる暖かさ。

……欠けていたものが今壮大な音を立てて流れている波のように流れ込んでくる。

…知らなかった…いや忘れていた……。

人はこんなにも温かいんだ……。

こんなにも一緒にいて近くに接することでこんなにも安心できるんだ……。


これが人なんだ……。


これが………







命の鼓動なんだ…………。








「……ん………。」



そして、唇をそれとなく離す…。


また、再び………。


単純な行為。


人が求めてやまない行為。


トクトクと旋律を奏でる命の鼓動。


それを求める行為。



唇を合わせること。







……そんな単純で根源的な行為に虜になってしまう。























……そして強く…強く…抱きしめる。

ステラを繋ぎとめていたいから……。

もっとステラの暖かさを感じていたいから……。
























……そのまま俺たちは二人暖かさを求め合っていた。


形容できない…重い…重厚な波……。


それに伴う…潮の匂い……。

海鳥の泣き声……。


波から覗き込むように静かに出てくる魚たち……。


海の記憶を心に抱きながら……ずっと…暖かさを求め合った。





























ステラ……。ずっと俺が守るからね…。



守る……。…うん……!











                       (終わり)

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1 Comments

才条 蓮  

『海の記憶』あとがき

時間がかなり経ったのですが、あとがきです。

この話しで気を遣ったのは何気に人間関係です。
レイが優しいのは49話でもありましたけど、自分も同じ境遇だったからでしょうね。ある人の欲望のために機械のようにプログラムされた人間にはやはり同情と優しさがあるのでしょうね。
逆にルナマリアは常識的…というか一般人と同じ心情という感じに描いています。シンがステラに対してやっていることは理解できない…というのをありありと示しました。
どちらもキャラ設定を考えてやりましたが、見直してみると案外忠実にキャラを再現しているんじゃないかと思ってます。

後は、海の描写。
これは海をイメージするためにどういう描写にしたらいいんだろう…と悪戦苦闘しましたね。海の記憶という題を打っているだけに苦労しました。
重厚な波の旋律…とかは思いつくだけでも大変。自分でも気障な演出だなと思いました。波の音というのは壮大で重厚な音を出すもの…というイメージは私の中で強かったのでこういう描写に。

きっかけ。
ステラとシンの絡みのシーンを作りたかったからです。それじゃ、やっぱり、海でしょう。…で、作りました。今思うと上手に表現できたか不安…。

2005/09/30 (Fri) 23:49 | REPLY |   

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