猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS32

機動戦士ガンダムSEED DESTINY SS

『星の輝きの中、大天使は飛ぶ』



……宇宙。


ここに抱かれる大地はなく……重力がなくふわふわと身体が振り回される。


艦内から外を見ると、そこは満天の星の輝きが点在する。


私たちに生命というものを与えてくれた太陽。


私たちが生まれた地球。


ありとあらゆる星の輝きがそこにあった。












………ああ、そうか。


帰ってきたんだね。


また、ここに。



私は宇宙で生まれたプラント育ち。


だから、故郷は?と言われれば、この宇宙なのかもしれない。


それだからだろうか……。


故郷のような懐かしさを感じるのは。


帰ってきた…という風に感じるのは。


少し…心が満たされた気持ちになるのは……。


やっぱり、自分はプラント育ちなんだろうな…とふっと思っていた。

















「はい…。どうぞ。メイリンさん。」


横から飲み物が……コーヒーだった。


「あ…ありがとうございます。ノイマンさん…。」


その手の先を見ると、ノイマンさんだった。


この艦に連合時代からずっと乗っている数少ない人物。

この艦の操舵手をやっている人。

この艦が初めて出航したときから……それこそずっと…ずっと操縦桿を握っている人だ。

その航行技術、戦場での判断力・実行力。

それは戦艦における操舵手という能力に関して言えば、正に天才的な人…という印象がある。

それなのに、それを誇示するようなこともせず、ただ淡々と操縦桿を握っている寡黙な人。



そんな寡黙で人生においても戦艦のクルーとしも大先輩な人に話しかけられるとはちょっと意外だった。





「この艦には慣れたかな。」


「あ、はい。大丈夫です。」


この艦に初めて乗ったときより、緊張もなくなったしみんなも良くしてくれた。


だから、もう慣れてきた。


みんなと一緒に手伝いすることで、次第に自分の居場所というものも出来てきたような気がしたから。





「…そういえば、宇宙に来てからずっと景色を眺めているね。」


話しをしているときもたまに景色を…宇宙を眺めていたからだろうか…ノイマンさんは静かで穏やかな口調でそう聞いてきた。


「あ、そうかもしれませんね…。私にとって宇宙は生まれ故郷かもしれませんから…。」


「……そうか。生まれ故郷か……。」




そう言うと、ノイマンさんも窓越しから宇宙を眺めた。























……宇宙の景色は変わらない。


広がっているのは無数に広がる星の輝き。


その星が生きているんだという証拠を示す生命の輝き。


単純に綺麗だな…と思う。





「この艦で宇宙にかえってくるとは思いませんでしたけど。」


「ふ…。そうかもしれないな……。」











……考えてみれば確かに滑稽な光景なのかもしれない。


プラント育ちでザフトの管制官をしていた私。


初めて地球に来たときはミネルバで地球に来た。


その私が地球連合の作った大天使に乗って再びここに……故郷に戻ってきた。


そんな人はそんなにはいないのだろうな…と無数に広がる星の輝きを眺めながらのんびりそう思っていた。



自分の取り巻く環境は大きく変わったけど、この宇宙は…故郷は変わらず私を迎えてくれている。


そのことは私を安心させ…心に充足感を与えてくれる。




















…………ノイマンさんを見た。


ノイマンさんは少し悲しい表情をしていたように見えた。


明らかな悲しい表情をしていると断定は出来ないが、あまり表情を変えないノイマンさんが感傷的になっているのは自分でもわかった。



「……どうかしましたか?」


「…いや。宇宙では色々あったな…そう思ったんだ………。」



「…………。」


色んなこと……。それは大切な人が死んだり…そういったことなんだろうか。


……多分、そうなのだろう。


ヤキンでの戦いを筆頭とする宇宙での激戦。


それによって多くに大切な人がいなくなったのだと思う。


それが具体的にどういうことなのかは分からないが…なんとなくそういう大切な人が亡くなったんだな…と思うだけだった。



「……そうだ。」


「はい?」


「少し時間あるか?就寝時間になるが……。」


とりあえず今日の運行は終わり、就寝時間に入ろうとしていた。


宇宙といえども、就寝時間は設けられているし、その時間になったら大体の人は眠る。


非番の人はともかく、そういう取り決めがあるのは軍艦と同じだ。



「……はい。大丈夫です。」


「………そうか。少し……この大天使の案内をしようかな……。」


アークエンジェルの案内。


そうか。


確かに一通りの案内はされたけど、詳しい経緯とかは聞かせてもらってないなと思った。


ノイマンさんみたいに、ずっとこの艦に乗っている人からそういうことを教えてくれるというのは……


多分、ここのクルーとして認められてきたんだな…。


そう思うと、満ち溢れた気持ちになる。


自分もここの大天使の一員なのだと……。


仲間の温もりという充足感が心に入り込んできた。













…………………………。






…………………。








……………。









………。






……。











「ここは…CIC…ですよね。」



「………ああ。」



ノイマンさんに連れてこられた場所はCICだった。


私もここ来たときもあった。


そのときはアスランさんと一緒だったな…と思うと少し顔が赤くなる。



画面を見た。



変わり続ける状況の変化。



いつどこに敵が出てくるか分からない。


CICはそういう敵の探査も行っている。


それらは全て、AIが自動的にやっていた。



「少人数でも運行可能なように、色んな場所をオートメーション化したんだ。」


「そうだったんですか?」



「ああ。昔は軍艦だったから……、人数不足なんてなかったが…。今はそうもいかないからな……。」



考えてみればそうだった。


この艦はごく少数で運行されていた。


ザフトにいた頃にここまで苦しめた艦の実情は、ここまで少数で運行されていたのかと正直驚いたぐらいだ。


それを考えると、オートメーションで運行されているのは頷けるし、昔は軍艦として利用されていたのだから人数はいたのだろうな……。




「そしてここ……。」



ノイマンはしゃべりながら、その中央にある座席に座った。


普段はアマギさんというオーブの軍人の人が座っている席だ。


ノイマンさんはその席に座ると静かに目を閉じた。









……そして、この大天使の操縦桿を握ってきた彼は語る。









「この大天使が運行を開始した時は、ある女性がここに座って戦闘の指揮をしていた。」



「その女性はクリスマスに生まれ、それにちなんだ名前だった………。」



「………ノエル…ですか……?」


「少し、違う。ナタルという女性だった。」



「代々軍人家系の出身で、自身も優秀な戦闘指揮官だった……。」



「……しかし………。」




ノイマンさんは前のように静かに目を閉じるのではなく、強く目を閉じているように見えた。




………ひょっとしたら、泣いているのかもしれない……。




「彼女は他の船の配属になった。主天使と言う名の船にな……。」


「そして、自分たちは連合から脱走をした……。」



「……そうなれば、自分たちはその女性と戦うことになるのは自然な流れだった……。」




……そうか。



この船は元々は連合から脱走したものだった。


脱走するというのは…以前の仲間とも戦うということにもなるんだろう。


……そして、大天使は今もこの星の輝きの中で飛んでいる。




…………それは……そういうことなんだろう……。


「自分たちとクリスマスの女性は戦い……彼女はこの星の輝きに満ちた漆黒の空間で散っていった……。」



数奇な運命をたどっているこの大天使。


その中で、多くの人がこの艦に乗った。


そして、多くの人間が散っていき……そしてある者はこの艦を降りた。



それでも彼はここにいる。



そして大天使はまだこの星の輝きの中、飛んでいる……。



その…クリスマスにちなんだ名前のナタルという女性は散った人間の一人……。






「……ありがとうございます。そういう話を聞かせていただいて……。」



「……いや、自分がしゃべりたかっただけなのかもしれない。……そうやって思い出したかったのかも知れない……。」


「……それでも…私は嬉しいです。」



「……そうか。なら、よかった……。」
















普段、副長が座っている席で…大天使を操舵してきた男性はやはり………泣いているように思えた………。

























……大天使は今も飛び続ける。



この星の輝きの中で。





                          (終わり)

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3 Comments

才条 蓮  

30作目突破!皆様ありがとうございます!

…ということで、あっという間に30作目を超えてしまいました。自分で見直すとよくここまで書いたなあ…と思ってしまいます。
読んでくださっている皆様ありがとうございます。とりあえず、コメントなどいただいている方とかには謝辞を。

AiR様
メールでも送りましたが、本当にありがとうございます。感謝してます。

蓮の花様
SSは読みました、やはり上手な人はいるのだな~と思ってしまいます。もう少し、表現力豊かになれるよう頑張ります。これからも見てくれると幸いです。コメントは力の源なので。

chisato様
ネタの提供などありがとうございます。今後も百合ネタ作ったら連絡しますので。見守ってくださると嬉しいです。

けろろ様
いつか(いつだろうか…)ロボットネタも書きたいと思ってます。そのときはご教授をお願いします。

h/e様
エロゲー、萌え系は実は範囲外…というか地域上見れないので…すいません(何だ、このコメントは…)。う~、要望とかあったら、とりあえず、何でも書けるので気楽にどうぞ。

seraid様

本当に要望あったら、よろしくお願いしますね。新たなる境地目指して頑張りますので。


その他読んでいる方々
本当に感謝です。これからも読み続けていただいたら、本当にありがたいです。何かあったり、言いたいことがあったらコメントしてくださいね。


中学生の頃から文章書きを始めて…ここまで。一日でも書かなかったら、感覚が鈍ってしまい、文章書きとしては自殺行為…そのためネットでは異例の掲載スピード誇ってますが…こんな才条ですがこれからもよろしくお願いします。

2005/10/06 (Thu) 00:31 | EDIT | REPLY |   

才条 蓮  

あとがき・『星の輝きの中、大天使は飛ぶ』

え~と、あとがきです。
渋いノイマンを書きたい!!という感情から書き上げた作品です。メイリンはその過程の中で出てきて、出すかどうか決めてなかったです。あくまで、ノイマン主人公…でしたので。
ノイマンって意外にというか登場シーンの割には人気ありますよね。私も好きです。というか操舵士って仕事がかっこいい。普段は淡々と運行しているけど、たまには荒業で攻撃避けたりと色んなことやっているノイマンはすごいです。

作るうえで。
まず、重大な問題が。…ノイマンの口調でどうよ?っていう疑問が。ノイマンがメイリンにどういう口調で話するのか全然予想がつかなかったです。まだ、マリューさんとかは想像できるのですが。う~ん、って思いながら作っておりました。

クリスマスの女性
宇宙に来たら、ナタルのことは思い出すのではないのでしょうかね。そういった意味ではマリューさんでもOKでしたね。宇宙には辛い思い出がたくさんあるでしょう。ナチュラルも…コーディネーターも…多くの人が死んだ場所…ですからね。

2005/10/07 (Fri) 19:08 | EDIT | REPLY |   

Air  

これからもよろしくお願いします。

>才条 連さん
重ね重ね、こちらこそありがとうございます。
これだけ送ってもらえるのは、管理人冥利につきるってものです……(涙)。

それだけに更新遅れ気味なのが申し訳なく……仕事さえ、仕事さえ!!・゚・(ノД`)・゚・

2005/10/10 (Mon) 15:40 | EDIT | REPLY |   

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