猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS54

機動戦士ガンダムSEED DESTINY SS

『人は淘汰される。それがこの自由な世界』 後編



人はいつだって幸せのために発展を望んできた。




昔からそう。




生きていくために科学を編み出し、そして今までもこれからも歩いていた。





その産物である僕を生み出したのが………。





















「………それで生まれ故郷に……コロニーメンデルに帰りたいって思ったの?」



「……まあ、そんなところかな。」




「……はあ。」








手に持っているのは携帯情報端末。




そして映し出されているのはずっと前からの友人、ミリアリアだ。





「コミカルからシリアスまでなんでも出来るジャーナリストよん。」







「……今回はシリアスでお願いするよ。」







「は~~い。」







こんなときでも映し出されているミリアリアはのん気な表情をしている。



恐らく、意識的にそうしているのだろう。



僕を気遣って………。




無断出撃のこともあまり気に留めてなかったようにみえる。




































「けど、今頃って感じもするわね。メンデルも。」







「そうかもしれないね。」






コロニーメンデル。



もうここは完全に廃棄コロニーと化していた。



というよりか、人が住んでいないのだからそれもそうなのだろう。



重力というものは存在せず、人生きていける空気も存在しない。



まさに生命というものが住める環境にはなっていなかった。



そのため僕は宇宙服に身をまとっていた。



宇宙服といってもパイロットスーツであるが。





「そっちはどう?」




「人の住むところ……いや……生命の住む場所じゃないね……。」







周りを見渡しても、生命体らしき固形物はあっても、生き物は存在しない。



宇宙空間だから…と言ってしまえばそうなのだが……。



こんなところに来るなんて確かに今頃って感じだ。



決戦は近いというのに……。





















「………メンデルか。」




「それは飽くなき発展のために研究を続けた場所であり、キラが産まれた場所ね……。」




ここで様々な実験が施された。



コーディネーターを創り出すために様々な実験を行い、コーディネーターと存在を安定して産みだす事に貢献した場所でもある。



そして、今。コーディネーターは宇宙に地球に多く存在している。




……全てはより良き人を創り出すためにおこなわれた。



強靭な身体。優れた知能。美しい外形。



それをより上手に…そして安定させて生み出すためにここは様々な実験をおこなったのだ。



それらの実験をおこなった場所のひとつとしてここ…メンデルというコロニーだった。



















それらの狂気を証明するようなものが乱立していた……。






大きな試験管のようなもの………人工子宮の残骸……。









無骨に青い気持ち悪い液体がある冷却槽……。





何という名前か分からない薬品の数々。





無骨な研究台。







………そして、棚に並んでいた標本……そして胎児たち……。







そんな狂気な研究をおこなわれた場所である。






























目を覆いたくなるような場所。



吐き気を催すような場所。




人が禁忌の実験を重ねたということを証明するような場所だ




こんな光景は慣れないし、慣れたくもない。




慣れて非人道的な人間になりたくもないから。


























「これが結果かしらね。進化を求めたものたちの……。」





「………進化の結果?」





「進化の果てには滅びがあるでしょ。だからよ。」




「確かに……。」





「コロニーメンデルは結局バイオハザードが起こって人が住めなくなって廃棄されたんだし。」






ミリアリアは至って正論だと言わないばかりの口調でいい続けた。



…というか確かに正論が正論なのだと思ったが。



あまりに常識的だというような口調に聞こえた。
















研究…進化の果ての滅びか……。




それは自由という名のもとにおこなった罪だったのかもしれない……。






研究という名のもとに多くの失敗作を産みだし淘汰した結果なのかもしれない。








だから、ここは滅んだのかもしれない……。








今のここの状況をみて、ふっとそう思った。







「………父さんもそれで死んだようなものだしね………。」






「…………ユーレン・ヒビキ。キラの実の父親にしてカガリの父でもある……。」




「……父さんはより良きものをとずっと前へと進んでいった。…僕と言う最高のコーディネーターを作るためにね。」




「その後、彼はブルーコスモスの襲撃に遭い、消息不明になった………。」




「………消息不明か……。」




「…………どうかした?」




「いや……父さんが生きていたら、今の僕をどう言うだろうかな…てね。」



「………キラ………。」



「実験は成功だと喜ぶかな?自由な世界のために戦う姿を見て喜ぶかな?」



「……………。」





「失敗作を成功作である僕が倒して喜んでいるんだろうね……。」



皮肉たっぷりに言う僕にさすがのミリアリアも表情が暗くなっていた。



振り返ってみれば、僕はずっと父さんの喜ぶことをしているのかもしれない。





メンデルの失敗作を倒す。それは僕が成功作であることの証明。


戦い続けること。それは僕が最高のコーディネーターであることの証明。


そして自由のために戦うこと。



全ては父の喜ぶことだった。



その過去の行為に関して嫌悪感と罪悪感に苛んでしまう。



僕という存在意義を感じずにはいられない。



僕がいなければ世界はもっといい方向にいったのではないかという心の闇。



















『それでは私のような者でも信じたくなってしまうじゃないか……!!』





誰かの声が聞こえた。




それは失敗作と罵られ、自由な世界を恨み……そして滅ぼそうとした男の声だった。



研究のために…自由という世界のために産み出され……淘汰された失敗作。



だから、彼は滅ぼそうとした……。



この世界を……。



淘汰されるこの自由な世界を……彼は滅ぼそうとしたのだ。








「彼を滅ぼした。クルーゼという男を。」



「それは正しいことだったのよ。どんなに間違った世界でも…守りたい世界があったのだからね。」



「……そうだね。」






















不思議にまた声が聞こえた。



それは……デスティニープランを提唱するものの声だった。




『ですので…私はデスティニープランを提唱します!!』


















「え………!!」




……思わず声が出た。




驚きと罪悪感。





………彼……デュランダル議長も同じ…………??



彼もこの自由な世界を恨み……そして手法を変えたとしても滅ぼそうとしている存在………。



この自由な世界を恨み………そして滅ぼそうと……変えようとしている……。




彼がどうしてこの世界を恨んでいるのかわからない。



どうして変えようとしているのか分からない。




彼もこの世界に淘汰された人間なのかもしれない………。

























しかし、それならばどうして僕を…ラクスを暗殺しようと思ったかも分かった。



自由……その中で産み落とされた究極の人類の進化系とも言われるSEEDを持つ者。



そんなものはいらない。



そんなものは必要ない。



この世に超越した人類の進化系の人間がいたなら、再び自由な世界になる。




だから、排除しようとした。




そんな自由の象徴である僕たちなんていらないから………。

























そのために戦争。




そのための戦い。




全てはこの自由な世界の罪。



それに苦しんだ者が必死にもがき…そして苦しんだ上に導き出した滅びの世界を望む者の憎悪が産みだした戦争。



自由の象徴であるロゴス…そして僕たちを滅ぼして新しい世界へと。



















「……キラ?」




「……視えたような気がする……。」




「何が……?」




「これは因縁だよ………太古の昔から演じている……狂劇。」




「……何のことよ。」




「彼は…デュランダル議長も……同じなのかもしれない……。かつてこの世界を恨んで滅ぼそうとした……。」




「……それはどうなのかしらね……。」




「手法は違えど、この世界を変えようとしているのは確かだよ。」




「…そうね。そうかもしれないわね……。」




この世界………。



このメンデルの惨状を見れば分かる。



研究…開発…自由……あらゆる大義名分の名で淘汰されたものたちが必死に抗いながら生きている世界。



その一方で僕のような成功体……利益を貪っているものたちがいる世界………。



それがこの世界。



淘汰され…それで利益を得ているものたちが混在する世界…。




そのものたちの戦い。
















………これは選択なのかもしれない……。



僕が歩む道の……。



それは何も考えずに最高のコーディネーターとしての役割を平和にただ果たすのか……。



それとも苦しみながらでも、自分の足で歩むのか……。
























「………ミリアリアはどう思う?苦しみながらでも自由な世界と平坦な自由のない世界。」




「……さあ。キラの判断で決めちゃおうかな~。」



「そっか……。」



「それじゃ、待ってるわね。そろそろまずいから。」



「うん。ありがとね。」








ミリアリアは携帯情報端末のディスプレイから消えた。



残ったのは、真っ黒な画像……つまりは映っていないということだ。




まずいというのは僕と連絡取り合っているということがまずいということなのだと思った。



確かに僕が無断出撃しているのに勝手に連絡取っているのは問題だと思う。




…どのみち帰るにしても。


















……待っているか。


ミリアリアは普通にそんなセリフを言っていた。


何気なく言ったセリフだが信頼感がないといえないセリフだとも思った。


アスランも「早く戻ってこいよ」的なセリフを言っていた。




どちらかと言うとのん気に見送った感がある。



どちらも僕が戻ってくると信じているからなんだろう。



……そう思うと、僕は友人にも恵まれたのだな…と思わずにはいられない。



暖かいところなのだな……。




僕のいるところは……。






僕が帰ってくることを当たり前のように思っているのだろう。



確かにあちら側に行こうとは思わないけど……。



……ただ、戦うだけの覚悟が欲しかっただけだ。



ここまで色々なことが多すぎたから………。
























自由……そして苦しみながらも、戦い続ける世界。



何も考えず生きていく世界………。




それならば僕は…………。




いや……答えはそこにあったのだ。



昔から。




………ただ、決めかねていただけだ。











その結論はいつだって決まっていた。



だからこそ……。

























バン!!!







持っていた銃を放つ。



それは僕が戦うという決意。



僕が守りたい世界のために……戦うという決意……。




自由なる生を目指して戦う僕の儀式だった。

























「人は淘汰される。それがこの自由な世界。」




「しかし、そんな世界でも守らないといけないものがある……。」





「変わらない世界は嫌だから…。そうなんでしょ……。ラクス……。」






背後で歌姫が姿を覗かせていた。




その表情は悲痛そのものだった。




何に対して悲痛だったのだろうか。




僕のことなのだろうか。




僕が苦しんでいるから彼女も苦しい思いをしてくれたのかもしれない。




「……大丈夫だよ……ラクス……。」




「キラ………ごめんなさい………。」

























僕はラクスのもとに行き……そして抱きしめた…………。





服越しなのでぬくもりは感じない……。



重力も存在しないから重さもなかった……。















しかし、感触はあった。



それはラクスがラクスという感覚がそこあった。



彼女が存在するという確かな感触がそこにあった………………。



いとおしい感触。



僕が僕の存在を感じ取れる感触だった。






















「大丈夫だよ。ラクス。僕は戦う。」



「キラ……本当に……。」



柔らかい感触。



スーツごしでも伝わる心の充足感……。







僕は抱きしめたまま彼女を安心させようと精一杯の笑みを浮かべた。



パイロットスーツのヘルメットごしだと分かりにくいのかもしれない。



それでも彼女に伝わったようで、安堵の表情を浮かべていた。



















僕はどこを向くことなく……中空で誓いの言葉のようなものを言う。




「例え、どんなに虐げられ…淘汰された人であろうとも…その人はその人として生きていかないといけないんだ。」





「自分は何にも変えられないのだから………。」




「それからも…逃げて……役割だからって生きていく世界はやっぱりおかしいから……。」




「僕も……淘汰された者も…それぞれ業を背負って生きている……。」




「僕は多くの研究の犠牲の上に立っていることを……。」




「その業を背負い……例え、戦いの中で生きることとなっても……。」



「僕は僕として業を背負って生きる世界を守りたい。」




「変わらない世界は嫌だから。」




「…逃げたくないから。」



























ラクスを見る。



それでも…僕が戦う覚悟を決めても不安そうな表情をしていた。



安心してもらうためにも僕は手を握る。




そこにあるのは感触だけ。




………だけどそれだけで十分だ。




その感触が僕が僕として生きている感覚なのだから。

























「……行こうか。ラクス。」



「はい。」



                     (終わり)





あとがき




………なぜかミリアリアをこういう場面で採用してしまう……。



ミリアリアというのはキラを主人公にした場合動かしやすいキャラクターなんですよね。


キラと身近にいたキャラクター…そしてジャーナリスト。



そういった様々なことで動かしやすいキャラクターだったりします。



ラクス・アスラン・メイリンも後半だとよく動きます。



これは原作と同じで。



原作はどうせキラが主人公であったのなら、ミリアリアをもう少し絡めて欲しかったです。



そういった意味でもミリアリアに活躍の場面をと……。



ちょっと(…かなりかも……)ミリィびいきが入ってます。







……しっかし、AA組たくさん書いてますね~~。



ミネルバの方も書けたらいいのに……。

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