猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

才条 蓮さんの投稿SS65

『星の輝く中に歌われた鎮魂歌』

1章「過去の清算」 第9話




沈黙が空間を支配する。




俺がカガリを抱きしめているからか余計にそう感じた。




部屋には俺とカガリしかいない。




その俺たちが静かにしているからか、空間は静かだった。




静かだからこそ聞こえる音がある。







…………時計が静かに時を刻む音。




…………俺たちが微妙に動くたびに聞こえる衣類の擦れる音。




……………俺たちの艶かしい呼吸。




……………互いが生きている命の鼓動。










それが空間の音を支配していた。






















「………親について色々調べてみようと思ってな………。」







沈黙が支配していた空間を俺が崩した。




カガリは抱きしめられたままこちらを見た。





…………顔から少し蒸気が出ていて赤くなっていてそれが綺麗だと思った。










「親?」






「………ああ。過ちとも思える行為をした親の………。」





「………だから直接プラントに行ってそれを知ろうと。」





俺は静かに下に頷いた。




目を閉じて………丁寧に。






…………俺はそのまま静かに独り言のように自分の心を打ち明けていた。















「…………いまだに俺の心は家族の後悔で支配されているんだ。どうして親と分かり合えなかったのか………そういう後悔が俺を支配しているんだ。それは1年以上たった今でもその心が俺を支配している。」






「………………アスラン。」







目を開けてカガリを見る。




カガリは少し瞳を潤んでいるようにも見えた。




泣いているわけではないが潤んでいるのは確かだと思った。






抱きしめていること………




沈黙が空間を支配していること………




他にも様々な要因でカガリの感情が昂ぶっているのだと思った。

















「両親はどういう世界を望んでいたのか…………。俺は親を本当の意味で知らない。だから………それを知るために行こうと思ったんだ。」







「プラントに行かないと分からないのか……?それは………。」









………………行って欲しくない。






そういうことを暗にカガリは言っているように思えた。





というか多分そうなのだろう。








そんな大切な人と離れたくない切ない声に聞こえた。














「プラントにはイザークの母親やディアッカの父親もいる。彼らは父さんに詳しいだろうし………。」





「そうか………。」










再び、カガリは俺の胸に顔を隠した。




泣いているわけではなさそうだが、以前より強く俺の服を掴んでいた。













「……………………。」








「…………………。」













そのまま暫く沈黙が空間を支配した。














カガリの大切な人に離れて欲しくない切望のようなもが感じ取れたのは確かだった。




そこまで俺みたいな奴を大切な人としてくれるのも嬉しい。









………それでも俺はもっと親のことを知りたかった。

















「別に………ずっとあっちにいるわけじゃない。すぐに帰ってくるし………まだ休みの目処がたつまではここにいる。」






「…………そうだな。」







カガリは顔隠しているためかくぐもった声で聞こえた。







…………悲しそうな声だった。


















「いいのか。」






俺は無粋だと思いながら聞いてみた。









「ダメだと………言えるわけないじゃないか。」







カガリは少し涙声のようにも思える声で答えた。





…………本当に泣いているのかもしれない。









「……………ありがとう。」



























…………俺はカガリの髪を優しく撫でた。






…………カガリ再び静かに顔を上げた。








赤くなっていた顔がさらに真っ赤に染め上がっていた。




そして双眸から溢れんばかりの涙。




震える唇。









大事な人に離れて欲しくないという思いを体現したものになっていた。



















「綺麗だ…………。」






俺みたいな家族からも愛されなかった人間を愛してくれる姿は………単純に綺麗だと感じた。




思わずそれが口からでてしまうぐらい……本当に綺麗だ。
















「アスラン…………。」






カガリは酔いしれるように溢れないばかりの瞳を閉じた。





そして唇を寄せてきた。






「……………………。」







無言で俺も唇を寄せた。























…………柔らかい感触がした。



…………あたたかい感触でもあった。




…………息遣いも感じ取ることができた。






本当に俺のことを大切にしてくれていると感じた。























沈黙が空間を支配していた。



聞こえるのは俺たちが小さな動きをするたびに聞こえる音だった。



聞こえるのは俺たちの衣摺れの音だった…………。






                           (1章終わり)

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