猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

聖夜のシンデレラ 第一章

2000年クリスマス記念SS 「聖夜のシンデレラ」
 
 
「ふう……」
これで今日何回目のため息になるだろう。
そんな事を考えながら、トウヤはぼうっと天井を眺めていた。
「あーもう!! せっかくのクリスマスニャのに、ため息ばっかりつかニャいでよ!!」
見かねたのかヤマトがわめくが、トウヤはあまり気にした様子も無い。
「まったく……メルヴィだって向こうでがんばってるのに、あニャたがそんニャ事じゃ……」
「うるせえな……わかってるよ……」
ヤマトのセリフをさえぎって、トウヤがつぶやく。
「いーえ、わかってニャい!! 今日だってせっかくアイやカスミ達が……」
なおもしゃべり続けるヤマトの小言を聞き流しながら、トウヤはもう一度ため息をつく。

『わかってはいるんだ……こんな事じゃダメだって……』

頭ではわかっていても、どうにも気力が沸いてこない。
今から3ヶ月前、メルヴィがアガルティアに帰って以来、ずっとこんな調子だった。
召喚の禁止……突然のお別れ。
当時はあまりにも突然すぎて、悲しむ暇すら無かった。
だが時間が流れるにつれて、心の中にぽっかり空いた穴がどんどん大きさを増していった。
あの少女が自分にとってどれだけ大切だったか、いなくなって初めて痛感した。

『メルヴィだって向こうでがんばってるのに』

先ほどのヤマトの声が耳に痛い。
この前届いた手紙によれば、今メルヴィは聖地で勉強に励んでいるそうだ。
あの子の事だ、きっとユミールのように錬金学を学んでいるんだろう。
自分なりの目標を持って、それに向かって努力しているメルヴィ……。
『それに比べて俺ときたら……』
そう考えると、思わず自嘲してしまう。
今日だって心配してくれたアイやカスミが、クリスマスパーティに招待してくれたのに……。
どうしても気分が乗らずに、結局断ってしまった。
クリスマスを楽しみにしていたメルヴィの顔を思い浮かべると、とても騒ぐ気にはなれなかった。

「―――かげんにって、トウヤ!! あニャた聞いてるの!!?」
「……へ?」
突然の大声にトウヤが我に返ると、ヤマトがぜいぜいと息を切らしている。
「どうした、ヤマト? そんなに息を切らせて」
「……あ、あニャたねえ……」
呆れたようにトウヤを見るヤマト、どうやらずっとしゃべり続けていたらしい。
「はあ……はあ……だからあたしが言いたいのは……!!」

ピンポーン!

突然チャイムの音が部屋に響いた。
「ん? 誰か来たみたいだな……ちょっと行ってくる」
またヤマトの小言が始まりそうだったので、良いタイミングとばかりにトウヤは下へ向かう。
「ちょっと!! まだはニャしは……もう!!」
さすがにお客を無視する訳にもいかず、ヤマトも渋々トウヤの後を追った。
『どうせカスミかアイだろうな……』
階段を下りながらトウヤはそう考えて少し憂鬱になる。
パーティの参加は断ったはずだが、それでも心配で呼びに来たのだろう。
もちろん彼女らの優しさは嬉しいのだが、今はまだそういう気分じゃなかった。
さて、なんて言えばいいか……と考えながら玄関の前に立つ。

ピンポーン!

2度目のチャイムが鳴ったところで、トウヤは深呼吸してドアノブに手をかけた。
「すまないけど、俺は―――」
ドアを開けると同時にトウヤはそう言いかけ、そのまま絶句した。
「……え?」
きょとんとした表情でトウヤを見上げる少女。
つい3ヶ月前まで、この家で一緒に暮らしていた12歳の少女がそこにいた。
「………メ、メルヴィ………?」
やっとの思いでそれだけを言葉にしたトウヤに、メルヴィはわずかに潤んだ瞳で笑顔を作る。

「ただいま……お兄ちゃん……」

12月24日クリスマスイブ。
トウヤとメルヴィ、3ヶ月ぶりの再会だった……。
 
 
第二章へ続く。

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