猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

アカデミー・ライフ 第16話

『アカデミー・ライフ』

第16話 34 years ago -集結-

 
 
「敵艦隊、前進を開始しました!!」
その声がエルクアーツの艦橋に響いたのは、奇妙な睨み合いから約6リス(4時間)後の事だった。
こちらの動きを警戒していたジグリム軍が、ついに攻勢にでてきたのだ。
「……どうやらバレたようだな………全艦、急速後退!!」
ロアがすぐさま指示を出す。
こちらの時間稼ぎがバレた以上、ここは退くしかなかった。
敵は10倍、まともに戦って勝算などあるわけがないのだから。
「………ミナリー、まだ本隊は来ないか……?」
「……はい……」
ロアの言葉にミナリーが辛そうにうなずいた瞬間、
「砲撃、来ます!!!」
報告とも悲鳴ともつかない声が、艦橋に走る。
それに続けて無数の光線がエルクアーツをかすめ、鈍い振動が艦を揺らした。
「左舷第3ブロック中破!!」
「ベルネアも被弾!! 損傷は軽微!!」
「各艦、分散して後退!! 負傷者の救出、急げ!!」
立て続けに指示を出すロアだが、その間にもジグリムの砲撃は苛烈を極め、何本もの光線が艦をかすめていく。
それでもまだ1隻も沈んでいないのは、ロアやプレーツ達の提督としての力量を証明していたと言えるだろう。
だが火力の違いは歴然としており、ヨーク軍は反撃どころではなく、完全に防御に徹せざるを得なかった。

約0.5リス(20分)後、防戦一方のヨーク軍に更なる危機が訪れる。
「敵装兵機、出撃してきます!! これは……フラムエルクへ向かっている模様!!」
「まずいな、やはりそうきたか………」
ロアの頬に冷たい汗が流れる。
敵の意図は明白だった……ここで自分らをひきつけておいて、装兵機部隊で無防備な王都を落とすつもりなのだ。
だがそれがわかっていても今はどうする事もできない。
もしあの部隊を追撃すれば、背後から敵に襲われて全滅する事は間違いなかった。
「こりゃあいよいよ大ピンチだな……くそっ!!」
サブモニターに映る敵装兵機の進撃を見ながら、フランが拳を握りしめる。
ヨークの騎士として、装兵機操者として、こんな時に何もできない自分に苛立ちを覚えているのだろう。
「フランさん…………きゃっ!?」
心配そうな顔でミナリーが何か言おうとした時、突如サブモニターに閃光が走った。

「!?」
あまりに突然の光景に、砲撃すら忘れて唖然とする両軍。
その閃光の発生源、ジグリム装兵機を映すモニターに全員の視線が集中する中で、先頭にいた1機が真っ二つに両断され爆発したのだ。
「あ、あれは………」
続いて彼らの目に映ったのは、爆炎の中に立つ2体の装兵機。
「識別信号確認!! ドルファーとガーネティアです!!」
「はは……そんな事しなくても、あれを間違えるわけねえだろ……やっと来やがったぜ、あいつら……」
オペレーターの報告にそう呟きながら、フランの顔に笑顔が戻る。
漆黒のボディに巨大な剣を持つ装兵機ドルファー、真紅の細身のボディに、同じく細身の剣を掲げる装兵機ガーネティア。
その2体こそ、彼らが待ち望んでいたヨークの騎士……ガリュードとエオリアの愛機だった。

「ロア提督!! ガルナ師匠!! ご無事ですか!?」
通信回線が開くと同時にそう叫んだのが、ガリュード・ジン・ヴラッツェン。
今年18歳になる、ヨーク期待の若手騎士である。
その期待の大きさは、10代前半時でヨーク最強の装兵機ドルファーを与えられた事が証明している。
以来、ロアの部下として武勲を重ね、今ではヨークでも1,2を争うほどの剣の腕に成長した。
いずれは「幻聖」の位まで昇る事になるだろうと、もっぱらの噂。

「ミーナ、プレーツ!! ついでにフランも大丈夫!?」
同じく回線越しに叫んだのは、エオリア・ジニア・ウッドゲート、25歳。
背中のあたりまで伸ばした金色の髪と、意志の強そうな瞳が印象的な女騎士だ。
もちろんヨークの騎士だけあって剣術に優れており、その技量はガリュードにもひけをとらないほど。
容姿からは非常に落ち着いた感じを受けるが、実際はとにかく気さくで明るい女性であり、ロア達も最初はギャップに戸惑った。
「黙っていれば美人なんだが」と、ガルナとフランが珍しく口をそろえて言ったものである。

「ああ、全員なんとか生きてるよ。よく来てくれたな……2人とも」
「そうですか……よかった……。申し訳ありません、本当はもっと早く来るはずだったんですが……」
「だから言ったじゃない、ガリュードくん。ロア提督達ならきっと大丈夫だって。でも……やっぱり遅刻しすぎでしたよね」
モニター上のロアに向かって頭を下げるガリュードとエオリア。
「まったく……見殺しにされるかと思ったぜ。何だってこんなにギリギリで来やがるんだよ」
「フ、フランさん……ダメですよ、そんな事言ったら………」
先ほどの笑顔から一転して不機嫌そうなフランに、小声でミナリーがささやく。
どうやら最後に呼ばれた上、「ついでに」とまで言われたのが不満だったようだ。

「あら?どうしたの、フラン? ご機嫌ななめみたいだけど?」
「お前なあ………ちくしょう、一瞬でも感激した自分が悔しい……」
そんなフランを見ながらニコニコと笑うエオリア。
そしてその様子を少し慌てて見ているミナリー……とてもじゃないが緊迫した戦闘中には思えない。
「もう、ちょっとした冗談じゃない。 せっかくお土産も持ってきたんだから許してよ、ね?」
「お土産?」
ロアとフランが同時に聞き返した、その時……。
「レーダーに反応多数!! これは………飛行艦艇です!! 間違いありません、我が軍の本隊です!!」
オペレーターの報告に、無数の歓声が重なる。
それがやまないうちに、全員の視界に見えてくる多数の艦艇。
ロア達にとって最高の「お土産」、飛行艦隊の本隊がついに到着したのだ。

「ただ……急いだので60隻ほどしかたどり着けませんでしたが……」
ガリュードの話では、少しでも早く合流する為、輸送艇や移動の遅い艦には後から追いかけてきてもらう事にしたらしい。
「いや、これだけいれば十分だ、ガリュード。艦隊は我々が引き受けるから、お前とエオリアは敵装兵機を頼む」
「あ、はい!!了解しました!!」
「任せておいてくださいね、ロア提督!!」
自信に満ちた瞳で敬礼する2人。
敵装兵機は約20機……普通に考えればかなり無茶に聞こえる命令なのだが、彼らにとっては別に珍しい事ではなかった。
「あれ……? エグゾギルム司令官はどうしたんです?姿が見えませんけど……」
そんな短いやりとりの後、ふとミナリーが訊ねた。
「あ、すっかり忘れてた……。たしかにあいつなら恩着せがましく現れるのが当然だが……」
「……あ」
「……う」
エグゾギルム……その名が出た瞬間、ガリュードとエオリアの表情がわずかに凍りついたように見える。

「? 何かあったのか、2人とも?」
「え、ええと………その、実は……エオリアさんが……」
「(シーーッ!! 黙ってなさい、ガリュードくん!!) ……あ!! 敵装兵機が動きだしました!! って事で、通信終わります!!」
「え? ちょ、ちょっとエオリアさん!? す、すいません、それじゃ自分も……!!」
わざとらしく言うと、通信を切る2人。
「……………」
後に残されたロアとミナリーは思わず顔を見合わせた。
「な、何があったんでしょうか……」
「さあ………あまり想像したくはないな……」
口ではそう言いながらも、ろくでもない想像を膨らませていたロアだが、前方に敵艦の姿を認めて慌ただしく意識を戻す。
危うく戦闘中だというのを忘れるところだった。
考え事してて負けました、など笑い話にもならない。

「全艦、ただちに本隊と合流!! 急げ!!」
「合流後は陣形パターンBへ移行!!」

ロアとミナリーの指令が通信に乗って各艦に飛ぶ。
圧倒的不利を耐えぬいたヨーク軍、彼らの……ロア達の反撃が今始まる。


-続く-

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