猫々蹴球

ねこねこしゅーきゅー、と読むと大吉です。デレステブログになりつつありますが、アニメ感想と投稿SS、サッカーもありますヽ( ´▽`)ノ

ヨーク戦記 第3話

『ヨーク戦記』

第3話 ジグリムの名将



アガルティア、大挙してジグリムへ侵攻。
その知らせは瞬く間に全世界を駆け巡った。
この世界における軍事力1位と2位の国による、本格的な激突である。
これまでのような局地戦ではなく、まさに雌雄を決するほどの戦いであるのは誰の目にも明らかだった。
一方、ヨークに帰還したロアは最悪の展開に備え、国境付近に第1級警戒体制を発令。
彼自身もフラムエルクで防衛の準備に多忙な日々を送っていた。

「……以上が現在の戦況です。結局アガルティアの第一次攻勢は失敗に終わったようですね」
「そうか……まあ、そうだろうな」
中央司令室でプレーツの報告を聞き終えて、ロアは納得したようにうなずいた。
10日ほど前、国境付近を舞台に交戦状態に突入したアガルティアとジグリム。
当初はアガルティア優勢かと見られていた戦況は、彼の予想どおり徐々にジグリム優勢に変化しつつあるようだった。
「戦況が変わったのは、ちょうど3日前ですね。ジグリムの主力が戦場に到着したのと、ほぼ同時です」
愛用のノート型端末をてきぱきと操作しながら、ミナリーが声をかける。
彼女はプレーツの入手してきたデータに基づき、より詳しい戦況を図形化する作業にかかっていた。
「主力って事は、やっぱり指揮官はあいつか?例のジグリム軍元帥……」
「ああ、まず間違いないな……あのグロウスターだ」
ガルナの問いにプレーツがうなずくよりも早く、深刻な顔で呟くロア。
いずれ必ず出てくる事はわかっていたが、それはヨークにとってもあまり歓迎すべき人物ではなかったのだ。

ジグリム軍元帥、オルゼア・グロウスター。
軍事国家ジグリムにおいて、最高の名将と称えられる国民的英雄である。
特に艦隊司令官として天才的な能力を発揮し、対アガルティア戦線で大きな武勲を立ててきた。
現在65歳とやや高齢ではあるが、威風堂々とした外見からそれよりもはるかに若い印象を感じさせる。
余談だが、後のジグリム軍大将ナガレク・グロウスター(この時18歳)とは親戚関係にあたる。

「そんなに優れた提督なんですか?そのグロウスター元帥って人は」
「おいおい、ガリュード、お前知らないのか?7年くらい前の戦いで、うちの軍を徹底的に叩いてくれた奴だぜ?」
「もちろんそれぐらいは知ってますよ。ただ直接に戦った事はないんで……」
呆れたような顔をしたフランに、少し不服そうにガリュードが呟く。
ちなみにフランの額には何故かバンソーコーが貼ってあるが、詳細は本人が語ろうとしないので不明である。
「まあ無理はないさ。ガリュードやミナリーが軍に入る前の事だからな、あの戦いは……なあ、ガルナ」
「……ああ」
ロアの言葉に露骨に顔をしかめるガルナ。
声に出してはいないが、その顔は「思い出したくもない」とはっきりと語っていた。
それも無理はなかった。
7年前に行われた、ヨークによるジグリム領侵攻作戦。
まだ提督の称号を得ていなかったロアとガルナは、その戦いに飛行艦艇の艦長として参加していた。
そしてその遠征軍は、当時のジグリム軍中将、オルゼア・グロウスター率いる艦隊に完膚なきまでに叩きのめされていたのだから。
もっともロアやガルナの責任というよりは、明らかに最高司令官の質に問題があったのが敗因であり、彼ら2人は十分によく戦ったのだが。

「まったくあの時は本気で死ぬかと思ったぜ……。名前は忘れたが、あのバカ司令官……。ヤバイって言ってるのに、敵の包囲網の中にむざむざ誘い込まれやがって……」
結局、思い出してしまったらしく、ガルナは名前さえ忘れられた哀れな司令官の悪口を言い始める。
「まあ、当時の俺らの言う事なんか聞いてもらえる方が珍しいさ。なんと言ってもたかだか一艦長にすぎないんだからな」
「そりゃあわかってるが、それでもよ……」
なおもガルナが何か言おうとしたその時……。

「……これでよし……っと。データの図形化、完了しました。メインスクリーンに転送します」
ミナリーの声がそれを遮り、一瞬の間を置いて司令室のスクリーンに端末の画面が拡大された。
アガルティアとジグリム、それぞれの艦隊の陣形が無数の光点によって見事に描き出されている。
「へ~~もう完成したんだ?さすがはミーナ、すごいわね~~」
「えへへ、ありがとうございます、エオリアさん。……っとと、これが戦闘開始時点の両軍の様子です。
アガルティア軍艦艇500隻、ジグリム軍200隻ってところですね」
ミナリーの説明に司令室の全員の視線がスクリーンに集中する。
「まずは艦隊戦からか……明らかにアガルティア優勢だな。陣形にも特に悪い点はなさそうだが………」
「数の上でも圧倒的ですしね」
ガルナとフランが続けてそう論評した。
彼らの言うとおり、スクリーンの中でジグリム軍は防戦一方のまま徐々に後退していく。
戦況が変化したのはそれから数日後、グロウスター元帥率いる本隊が戦場に到着した日の事である。

「この時、新たに参戦したジグリム軍は艦艇250隻程と思われます」
「それでもまだ数ではアガルティアが有利ね……さあて、これからどうやって挽回するのかな~~?」
興味深そうに、というより楽しそうに笑うエオリア。
だが数分後、その表情が真剣なものに一変する事になる。
一方的に攻め続けていたアガルティア軍が突如として勢いをなくし、逆にジグリム軍に押され始めたのだった。


-続く-

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